日本医療器材工業会について
総 論
概 要 10年の活動成果と現状の課題
昨年、当工業会は創立10周年という記念すべき節目の年を迎えた。この間、医器工産業ビジョンを作成し行政に提言するなどの積極的な取組みもあって、医療機器の社会的な認知度が向上し、政府の医療機器産業ビジョンや5か年戦略などの産業振興策が次々と打ち出され、新成長戦略につながったことは大きな成果であった。なお、提言に当たっては工業統計資料がそのベースとして重要な役割を担ったところである。この他、医療事故防止対策、承認・認証基準の整備の分野でも成果を達成してきている。
一方、改正薬事法対応では、PMDAの審査員の充実、審査体制の整備、審査基準の明確化などで一定の進展は見られるものの、継続協議となっているものが多く残されている。同様に保険医療材料制度改革においても、保険適用時期の迅速化、改良加算要件の新設、機能区分の細分化などで一定の成果は得てきているが、イノベーションを適正に評価する仕組みの導入などは今後の課題とされている。さらに、公正競争規約やプロモーションコード等企業倫理の遵守について周知を図ってきているが、今後の更なる徹底が求められる。また、組織運営面では後継者問題などの課題も出てきている。
次の10年に向けて
今後10年を展望すると、成長産業としての期待、患者さんへの貢献という視点に加えて、超高齢化社会を支える社会システムとして、QOLと医療経済性を両立し得る革新的な医療技術の重要性が更に増してくると思われる。これらに対応するには、改良改善によるイノベーション評価の導入などにより国内産業基盤を強化した上で、最先端医療機器の提供、イノベーションの推進、アジア・世界展開を視野に入れた産業の活性化を推し進める必要がある。そのために当工業会として下記の5点に取り組むとともに、組織運営面で更なるレベルアップを図り提言力を強化する。
(1)審査迅速化・イノベーションの評価・開発環境などのダイナミックな条件整備
(2)産業活性化に向けた基盤強化の取組み
(3)医療機器と医薬品の融合、遺伝子診断や治療、再生医療など新たなイノベーション
分野への取組
み
(4)アジア新興国市場と世界展開に向けた産業振興の取組み
(5)日本の医療機器の強みである品質や安全などの基準をアジア・国際標準にする取組み
今年度の取り組み
今年度は、継続した課題解決に加えて次の10年に向かう初年度としての活動に取組む。
次期通常国会提出に向けた薬事法改正への対応が重要案件とされることから、薬事法の見直し作業に当たっては、デバイス・ラグやデバイス・ギャップの解消を図るうえでも国際調和を図るとともに、医療機器の特性を踏まえた法整備として行政に要望する。また、新成長戦略への取組みでは、工程表に基づいた関係省庁との検討を精力的に進めるとともに、内閣官房の「医療イノベーション推進室」対応では、医療機器ワーキングチームと協働した取組みが重要とされるので、医機連との連携を密にしていくこととする。
一方、アジア新興国市場への進出や世界と競争できるイノベーション力を強化するうえで、日本の医療機器の強みであるモノづくり産業の特性を活かした取組みが欠かせないことから、会員企業のより一層の産業振興、国際化を支援するための新たな取組みを行なう。
このような観点に立って、以下に今年度の重点施策を示す。
| (1)医療機器施策への取組み | ||
| ア. | 薬事法改正への取組み | |
| 薬事法の名称を「医薬品・医療機器法」に改称するなど医療機器の特性に合わ せた抜本的な法体系の見直しを求めるとともに、認証制度の拡大や審査官の免責 制度の導入など承認審査の迅速化に向けた法整備、未承認医療機器の定義の明確 化、QMS制度など国際整合性の確保の実現に向けた取り組みなどを行なう。こ れにより、デバイス・ラグやデバイス・ギャップの解消も図る。 | ||
| イ. | 新成長戦略への取組み | |
| 工程表に基づいた関係省庁との検討を精力的に進めるとともに、内閣官房の「医療イノベーション推進室」への対応に当たっては、「医機連産業政策会議/医療イノベーション推進部会」と連携する上で支援チームを編成するなど機動的に対応する。
また、医療機器情報担当者資格制度の検討については、引き続き国内外の関連制度に関する調査研究等を進める。 |
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| ウ. | 医療機器の審査迅速化への取組み | |
| 合同作業部会各WG及び医療機器審査迅速化アクションプログラムに対して、具体的で効果的な取組みを行う。また、審査側の業務革新と並行して申請者側の申請手続きの精度向上を図るための取組みを強化する。 認証基準については、クラスⅡ品目の完全認証移行活動の最終年度として継続的に対応する。 また、GQP省令及びQMS省令の実運用面での問題点・疑問点について引 き続き関係機関と協議し解決を図る。 |
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| エ. | 医療機器の安全性確保への取組み | |
| 医療機器等のトレーサビリティの確保や物流効率化・高度化等に必要なバーコードの標準化を一層推進する。 医療機器のより安全な使用を確保するうえで、医療従事者及び患者への情報の質を高めるため、医療機器情報担当者教育の充実や情報の共有化に向けた取組みを進める。 |
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| オ. | 研究開発の活性化に向けた環境整備への取組み | |
| 研究開発活性化に向け、治験環境の整備、企業要請による臨床研究の環境整備、
レギュラトリーサイエンスの確立・普及など各政策で取り上げられた課題に向けた取組みを行うとともに、第Ⅳ期METISへの対応を積極的に行う。 医療機器GCPについて、昨年度の厚科研(GCP特別研究)の成果の具体化に向けた取組みを行う。 |
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| カ. | 医療保険制度への取組み | |
| 平成24年度の診療報酬改定に当たっては、専門家の意見などを踏まえてイノベーションの推進を支える "保険制度のあるべき姿"を提言して行く。 | ||
| キ. | 国際化の推進 | |
| 国内企業の国際化を進めるため、海外情報の提供や中国政府との継続的な交流に向けた取組みを行う。 ISOの国際規格対応では、今年度よりTC76(輸液・輸血セット、血液バッグ等)がPメンバーとして活動する。これにより当工業会が審議団体となっている全てのTCについて日本の技術を国際標準化に反映するための活動を行う。 |
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| ク. | 産業育成の推進 | |
| 国内産業基盤を充実するためにも日本の強みであるモノ作り産業の特性をイ ノベーションに活用する必要がある。このため、当工業会会員企業と異分野企業や要素技術企業とのマッチングのためのデータベースを整備し、会員企業に情報提供する。また、地域での産官学によるイベントの紹介を行う。 | ||
| ケ. | その他 | |
| 常任委員会が中心となり関係委員会の協力のもとに、新たな10年に向けて組織運営体制のあり方を検討する。 | ||
| (2)医療機器の社会的使命達成に向けた取組み | ||
| 東日本大震災への取り組みでは、引き続き災害対策本部において医療機器の安定
供給の確保に向けた諸対策を講じていくこととする。特に、原料・部材の安定確保への取組みや薬事法上の特例措置への取組みについては、関係部会と密接に連携して必要な対策を講ずる。また、東日本の電力不足に対応するため種々の節電対策に係わる取組みを行う。 一方、年々、医療機器に対する国民の評価と期待が高まるなか、会員企業に対して社会的使命感と企業倫理観の育成が必要とされることから、それらの重要性を啓発し、コンプライアンスの向上に向けた社内体制の再評価を求めていくこととする。 また、医機連が主催する「医療機器市民フォーラム」への協力を継続する。 |
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| なお、平成23年度重点施策の細目は、以下の通りとする。 | ||
重点施策
I.医療機器施策(「薬事法改正」、「新成長戦略」、「5か年戦略」、「新医療機器・医療技術産業ビジョン」、「アクションプラン」、「政策対話」)への確実な取組み
| 1. | 薬事法改正への取組み | ||
| ― | 要望事項の実現に向けた取組み | ||
| 2. | 新成長戦略への取組み | ||
| ― | 工程表に基づいた取組み | ||
| ― | 医療イノベーション推進室への支援 | ||
| 3. | 医療機器の審査迅速化への取組み | ||
| ― | 審査迅速化アクションプログラムへの取組み | ||
| ― | 承認・認証基準の整備、見直し | ||
| ― | 申請手続きの適正化に向けた取組み | ||
| 4. | 医療機器の安全性確保への取組み | ||
| ― | 医療安全及び流通の効率化に向けたIT化の推進 | ||
| ・医療安全及び流通の効率化に向けたIT化の推進 | |||
| ・添付文書データベース化の推進 | |||
| ・バーコード標準化の周知徹底 | |||
| ― | 使用時安全対策の推進 | ||
| ・安全情報の共有化と対応強化 | |||
| ― | 医療機器情報担当者教育の充実 | ||
| 5. | 研究開発の活性化に向けた環境整備への取組み | ||
| ― | 医療機器レギュラトリーサイエンスの確立と普及への取組み | ||
| ― | 医療機器・医薬品の融合、遺伝子診断と治療、再生医療分野等におけるイノベ ーション支援 | ||
| ― | 企業要請による臨床研究の環境整備 | ||
| ― | 治験環境の整備とルールの明確化 | ||
| ― | 優先審査制度(医療ニーズ等)の積極的活用 | ||
| ― | 医療機器産業戦略コンソーシアム(METIS)への対応、産・官・学連携への積極的参画 | ||
| ― | 材料供給活性化への取組み | ||
| 6. | 産業育成の促進 | ||
| ― | 異分野企業・要素技術企業とのマッチングデータベースの整備 | ||
| 7. | 医療保険制度への取組み | ||
| ― | イノベーションの推進を支える"保険制度のあるべき姿"の提言 | ||
| ・製品別収載制度の導入に向けた対応 | |||
| ・機能区分別制度の見直し | |||
| ・新規保険導入の一層の迅速化・透明化 | |||
| 8. | 国際化の推進 | ||
| ― | 中国政府との継続的な交流の実現 | ||
| ― | アジア新興国の標準化に向けた対応の検討 | ||
| ― | 国内企業の海外進出への支援 | ||
| ― | 国際共同治験の推進 | ||
| ― | ハーモナイゼーション(HBD、GHTF)の推進 | ||
| ― | 国際規格(ISO、IEC等)への対応強化 | ||
| 9. | 流通適正化への取組み | ||
| ― | 流改懇への対応 | ||
II.医療機器の社会的使命達成に向けた取組み
| 1. | 東日本大震災に向けた災害対策本部の取組み | ||
| ― | 医療機器の安定供給の確保に向けた対応 | ||
| ― | 原料・部材の安定確保と薬事承認の特例措置への対応 | ||
| ― | 節電対策への対応 | ||
| 2. | 企業倫理の徹底 | ||
| ― | 不祥事の再発防止に向けた啓発活動の強化 | ||
| 3. | 医療機器の貢献に関する情報発信 | ||
| 4. | 政策提言力につながる情報データの蓄積 | ||
| ― | 医器工工業統計資料の充実と活用 | ||
| 5. | 医療機器の環境問題への対応み | ||
| ― | 省エネ対策への取組み | ||
III.施策実行のための方策
| 1. | 工業会活動の充実強化を図るため、会員企業の一層の理解・協力を促進する。 |
| 2. | 重点施策への取組みに当たっては、常任委員会と部会・委員会との連携を一層強化 する。なお、喫緊の課題に対しては常任委員会を中心に機動的に対応する。 |
| 3. | 重点施策に対応した調査・研究活動を充実する。 |
| 4. | 外部専門家やシンクタンクを活用したエビデンスに基づいた提言力の向上と実効性 のある取組みを推進する。 |
| 5. | 医機連の委員会活動への参画を通じ、医器工の一層のステータスアップを図る。 |
