日本医療器材工業会について日本医療器材工業会について

総  論

概 要

 平成22年度も引き続く景気回復への取組みと雇用拡大、社会保障基盤の整備、外交政策などが我が国の抱える重要課題とされる。景気回復は、自国での景気対策への取組みはもとより、経済発展が著しい中国、インドなどアジア地域への産業進出による外需効果への期待がもたれている。特に、アジア地域では人口増加を背景としたインフラ整備に伴う需要増が見込まれるが、このインフラ整備には医療基盤の整備なども含まれることから、我が国の医療機器業界のアジア地域への進出も期待されている。このことは、政府が昨年末に閣議決定した「新成長戦略(基本方針)」において、アジア地域を成長フロンティアとして位置づけ、アジアと共に生きる国の形を実現することで我が国の経済成長の機会があると謳っているところである。
 この新成長戦略では、環境・エネルギー及び健康分野を我が国の強みを活かす成長分野と位置付け、さらに健康分野では、「医療・介護・健康関連産業」を経済の成長牽引産業に育てるとされている。新成長戦略の具体的な工程表の策定は6月に示される予定であるが、医療機器業界としては、関係省庁に対する具体的な提案に当たって、これまで取り組んできた各種施策との継続性を持たせることはもとより、何よりも医療機器の特性を踏まえた真の産業育成としての提案が必要とされる。
また、アジア諸国と共同の国際標準化等への推進が求められていることから、こうした取り組みに当たっては、業界として関係国とりわけ中国との定期的な情報交換等のできる環境整備を進める必要がある。
 一方、今年度は、平成12年11月17日に当時の日本人工臓器工業協会(工臓協)と日本医療器材協会(医材協)が合併して当工業会(医器工)が設立されてから、ちょうど10年の節目を迎えることになる。この間、会員企業が工業会の掲げる目標に向かって一丸となって各種施策の遂行に取り組んできた結果、特に医療機器に対する国民、医療関係者、行政等の認知度の向上に寄与してきたことは大きな成果と言える。
 これからも医療機器メーカーの責務である新医療機器開発と改良改善の継続、安定供給の確保、品質の確保、そしてコンプライアンスの徹底による信頼性の確保を必是として、10年20年先を見据えた取組みを進める必要がある。
このような観点に立って、以下に今年度の重点施策を示す。


(1)医療機器施策への取組み
  ア. 医療機器審査迅速化への取り組み
    一昨年12月に「医療機器の審査迅速化アクションプログラム」が策定され、 審査員の増員等の医療機器審査体制の拡充、3トラック審査制の導入、審査基準の明確化及び相談体制の拡充等の審査側のアクションプログラムが、本年度は本格的に進展する予定である。申請側としても拡充される相談制度を有効に活用しつつ、一層の申請手続きの精度向上を図る等、審査側及び申請側双方の努力のもとで医療機器の総審査期間の短縮目標の前倒し達成を目指して取り組みを強化・拡充する。同時に、行政側と3極経営レベルが参加する「薬事規制に関する定期意見交換会」や「APレビュー部会」及びその直属の「APレビュー部会実務者会議」に医機連主要メンバとして積極的に参画していく。また、申請手続きの精度向上等、申請側のレベルアップに関しては、昨年度に各部会に設置された薬事分科会を通じて審査分野別の対応を図る等、取組みを強化する。
  イ. 医療機器の安全性確保への取組み
    (独)医薬品医療機器総合機構の「医療機器添付文書データベース」への掲載促進については、前年度に引き続き、未掲載会員企業を対象とした入力説明会を継続的に開催する等、一層の掲載率向上を図る。 医療情報の共有化については、前年度に引き続き医器工ホームページを有効に活用することによって、医療機器の使用時安全対策の推進を図る。
また、医療機器情報担当者資格制度の検討については、引き続き国内外の関連制度に関する調査研究等を進める。
  ウ. 新医療機器開発へのチャレンジ
    「革新的医療機器創出のための5か年戦略」は4年目を迎え、「新医療機器・医療技術産業ビジョン」は3年目を迎える。臨床研究・治験環境整備や部材供給問題などの課題は、産官学が連携して推進してきた開発環境整備の結果として改善されつつあり、残された課題も明確になってきた。これらの解決を加速すべく、各施策の完全実施に向けた活動を継続する。 一方、医療機器産業全体として、産業成長の糧となる新医療機器が求められていることから、関連会員企業の積極的なチャレンジを期待したい。
  エ. 医療保険制度への取組み
    平成22年度診療報酬改定における特定保険医療材料価格制度の見直しでは、保険医療財政が極めて厳しい中において一定の成果を上げたところであるが、医療機器のイノベーション評価の観点からは、未だ出口が遠い状況にあると言わざるをえない。 平成22年度においては、より医療機器の特性に重点を置いたイノベーション評価の仕組みの導入に向けた取組みを行う。そのためのエビデンスの収集とこれまでの議論を踏まえた理論の再構築を外部専門家の活用などにより進めるとともに、行政の理解促進に向けた取組みを行う。
  オ. 国際化の推進
    デバイスラグ解消に向けた環境整備の一環として、HBD及びGHTFの活動により積極的に参画することで一層の国際整合の推進を図る。 また、アジア諸国等の台頭を踏まえ、近年重要性を増しているISO等の国際規格への対応については、医器工が審議団体となっているISO/TC150、ISO/TC194及び新たにPメンバにステータス向上を果たしたISO/TC84等において、医器工範疇製品が関連するその他の規格を含めて、日本の意見をISO規格に反映できるよう、積極的な提言活動の実施を目指す。さらに国際共同治験に向けた調査研究については、前年度に引き続きその推進に努める。 なお、今年度から中国における医療機器に係る動向の情報収集や情報交換等が出来る仕組み作りについて具体的な取組みを実施する。
  カ. 流通適正化への取組み
    医療機器の流通改善に関する懇談会は、平成22年度からいわゆる附帯的サービスの実態とその検証が行われるものと思われる。そのためには、附帯的サービスの実態を医器工会員企業の協力を得て調査し、市販後安全対策の観点、公正競争規約の観点、医療機器情報提供の観点などからサービス内容の検討を行う必要がある。 また、流改懇とりまとめの「医療機器にけるバーコードの利用促進に向けての提言」を踏まえて、医療機器等のコード標準化に向けた会員企業への周知徹底を図る。
     
(2)医療機器の社会的使命達成に向けた取組み
    国民の医療・健康を担う産業界にあっては、医療関係者はもとより国民の信頼性を確保することが社会的責務であることから、今後も企業倫理とコンプライアンスの徹底、プロモーションコードの徹底、そして安定供給の確保に向けた会員企業への周知を図る。 また、医療機器の社会的認知度向上に向けた取組みとしては、引き続き医機連が主催する市民フォーラムへの協力を行うとともに、医器工独自の取組みとして、個々の会員企業が地域住民等を対象とした工場見学会などの取組みの参考となるよう、会員企業の協力を得て先駆的取組み事例等の紹介を行っていく。
     
    なお、平成22年度重点施策の細目は、以下の通りとする。

重点施策

I.医療機器施策(「5か年戦略」、「官民対話」、「新医療機器・医療技術産業ビジョン」、「新成長戦略」)への取組み
1. 医療機器審査の迅速化への取組み
審査迅速化アクションプログラムへの取組み
承認・認証基準の整備、見直し
事前相談制度の活用
申請手続きの精度向上
企業の薬事人材の強化
 
2. 医療機器の安全性確保への取組み
医療安全及び流通の効率化に向けたIT化の推進
  ・医療機器データベースの登録精度向上による利活用の促進
  ・添付文書データベース化の推進
  使用時安全対策の推進
  ・安全情報の共有化と対応強化
  ・保守管理(医療機関における定期点検、耐用期間)の推進
 
3. 新医療機器開発へのチャレンジ
  臨床研究・治験環境の整備
  医療機器産業戦略コンソーシアム(METIS)への対応、産・官・学連携への積極的参画
「スーパー特区」への参画
優先審査制度(医療ニーズ等)積極的活用
  企業間連携・アライアンスの促進
  材料供給活性化への取組み
 
4. 医療保険制度への取組み
平成24年度診療報酬改定に向けた施策の検討とエビデンスの収集
(主として製品別収載制度の導入に向けた対策の継続検討)
特定保険医療材料ガイドブックの編集・作成
 
5. 国際化の推進
海外情報収集の強化(技術、法規制、市場)
国際共同治験の推進
  ハーモナイゼーション(HBD、GHTF)の推進
  国際規格(ISO、IEC等)への対応強化
 
6. 流通適正化への取組み
流改懇提言(コード化)及び平成22年度検討課題への対応

II.医療機器の社会的使命達成に向けた取組み
1. 企業倫理の徹底
2. 安定供給確保への対応
3. 医療機器の環境問題への対応
4. 医療機器の貢献に関する情報発信
5. 政策提言力につながる情報データの蓄積
・医器工工業統計資料の充実と活用
6. 災害対策組織活動の周知
7. 創立10周年記念事業への取組み

施策実行のための方策

1. 施策実行に向けて、部会・委員会・常任委員会の連携を密にし、活動を強化する。
2. 喫緊の課題に対しては、常任委員会を中心に機動的に対応する。
3. 医機連の委員会活動への参画を通じ、医器工の一層のステータスアップを図る。
4. 重点施策に対応した、調査・研究活動を実施し、研修会・講演会の充実を図る。
5. 当工業会のみならず、外部専門家・機関との連携を図り、活用する。

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